2005FIAフォーミュラ1世界選手権 開幕戦

オーストラリアGP メルボルン・アルバートパーク・サーキット

 

「悪天候の1回目予選でバトンは8番手、佐藤はクラッシュしノータイム」

35日・土曜日(1回目予選) 天候:雨時々晴れ 気温:18C

 

開幕戦 オーストラリアGP 1回目予選

Honda プレスリリース

 

雨、晴れ、強いにわか雨、そして再び晴天。めまぐるしく変わる天候の中で行なわれた1回目予選で、Lucky Strike BAR Hondaの両ドライバーは、共に最悪のコンディション下で出走。ジェンソン・バトンは8番手を獲得したが、佐藤琢磨はコースインラップ中にスピンを喫しクラッシュ。1回目予選を19番手、ノータイムで終えた。

 

開幕戦2日目のメルボルンは、深夜から断続的に強い雨に見舞われた。朝になっても天候は好転せず、午前9時から始まった1回目のフリー走行は、完全ウェット路面でのセッションとなった。マシンのダウンフォースが昨年より低下しているところへ濡れてグリップの低下したコンディションとあって、スピンやグラベルにコースオフする光景がそこかしこに見られた。

それでも2回目のセッションが始まる頃には雨も上がり、サーキット上空には青空も見え始めた。路面はみるみる乾いて行き、セッション終了10分前には、ほとんどのマシンがドライタイヤで走行するようになった。B・A・R Hondaの2台は順調に周回を重ねていたが、佐藤のマシンがチェッカーの振られた直後にスローダウン。電気系にトラブルが発生し、コースサイドにマシンを止めた。午前中のフリー走行は、バトン5番手、佐藤8番手というタイムだった。

今シーズンは、土曜日の午後にまず1回目の予選が行なわれ、決勝日の午前中に行われる2回目予選のタイムと合算されて、グリッドが決められる。2回目予選直前に給油が許されているために、今日の1回目予選は、かつてのような空タンクでの全開アタックが見られることになる。このまま天候は回復することが期待されたが、昼過ぎにサーキットを暴風雨のような、にわか雨が襲った。雨は10分ほどで上がったものの、せっかく乾いた路面は再び、びしょ濡れになってしまった。そしてすぐに強い日差しが差し始めるという、実に目まぐるしい天候。それでも路面は乾かず、午後1時からの予選はウェットコンディションで始まった。

1回目予選は、前レース結果の逆の順番からの出走となる。昨年の最終戦ブラジルGPをリタイアに終わったバトンは5番目の出走。サーキットの上空は青空が広がり始め、路面はどんどん乾いている時だけに、巡りあわせの悪い早い出走順になってしまった。逆に6位入賞の佐藤は15番手の出走で、その時には路面コンディションはかなり好転すると思われた。

コースの所々に水溜りが残る路面コンディションのため、バトンはウェットタイヤを履いてコースイン。路面はほぼ乾いているところもあれば、水しぶきの上がる場所もある。バトンは安定したスムースな走りを見せトップに立った。その時点の2番手に3秒近い差をつけていたとは言え、その直後から晴れ間がいっそう広がり、路面は急速に乾き始めた。そして残念ながら後続のマシンはバトンを上まわるタイムを出していった。

ところが佐藤の出走する直前に再び雲行きが怪しくなり、サーキットを激しいにわか雨が襲った。コースは瞬く間に完全ウェットとなり、ちょうどドライタイヤでコースインしていたF・マッサ(ザウバー)は、スローダウンし、タイムアタックを諦めざるをえない状態となった。続いて出走したM・シューマッハ(フェラーリ)もペースを落としての走行となった。そして佐藤がコースイン。浅溝のウェットタイヤで出て行ったものの、路面コンディションは予想以上に悪く、コースインラップ中にスピン。そのままコースオフし、マシンの右フロントをバリヤにぶつけ、止まってしまった。最終的にバトンは8番手、佐藤はノータイムの19番手となった。1回目予選のトップは、好条件の際にタイムアタックしたG・フィジケラ(ルノー)だった。

■ジェンソン・バトン
3回目フリー走行 10番手 1分51秒364
 4回目フリー走行 5番手 1分29秒577
 1回目予選 8番手 1分41秒512
「この天気のお陰で、シーズン最初の予選なのに、出足をくじかれたね。僕の走行の後も、また天気が変わったことを考えると、案外自分が思ってるよりラッキーだったのかもしれないね。今朝のフリー走行セッションでは、路面コンディションが悪く、琢磨の5秒落ちと、全く上手く走れなかった。でも予選ではセットアップを変更して、マシンはとても良くなったよ。天気は僕らにすごく影響したけれど、少なくとも僕らは良い方向には向かっていると思う。今日は全く予想できない状態だったし、明日も何が起こるか分からないよ」

■佐藤琢磨
3回目フリー走行 6番手 1分46秒768
 4回目フリー走行 8番手 1分30秒554
 1回目予選    19番手 ノータイム
「僕らにとって、とても大変な1日でした。フリー走行の最後では、電気系のトラブルで止まってしまいましたし、ウェットコンディションのお陰で、マシンのセットアップも満足にできませんでした。予選開始早々は、ドライになり始めていましたが、僕の出番になってガレーヂを出る時に再び雨が降り始め、そして雨脚は激しくなってしまいました。浅溝のウェットタイヤを履いていたのですが、あの雨の状態では走らせることは不可能でした。難しい状況の中、ベストは尽くしたのですが、もうどうしようもありませんでした。今の自分ができることは、日曜日のレースで、後ろから激しく攻めていくことです」

■ジェフ・ウィリス B・A・R Hondaテクニカルディレクター
「様々な路面状況の中、今日の午後の予選は全く宝くじみたいなものだった。ジェンソンは早いスタート順で、路面はまだウエットだった。これは彼にとって全く不利なスタートで、ウェットタイアでの良い走りにもかかわらず、路面がみるみる乾いたお陰で、8位まで後退してしまった。コースはそれからもどんどん乾き、ドライバーの何名かがドライタイヤを使用するところまで行った時に、再び激しい雨に見舞われ、もう誰も好タイムを出すことはできなかった。幸いにもジェンソンは明日の予選に向け、まずまずのポジションとなった。しかし、順位間のタイムギャップが大きいことから、新レギュレーションの2回の予選タイムの合算方式では、決勝グリッドの挽回は非常に困難なことだ。複雑な天候といくつかのマシンの問題で今日は非常に難しかったが、今朝の最後のフリー走行のペースには満足できるものであり、明日のレースに集中したい。琢磨は激しい雨の中、ウエットタイアを装着してのスタートだったが、ピットの出口を出た途端にハイドロプレーニングを起こし、コースインラップでクラッシュしてしまった。明日については、修理が間に合うか、スペアのマシンを使用するか、ダメージのレベルを確認して決めることになる」

■中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development
「佐藤選手にとって、本当についていない1日になってしまいました。予選中の天候もそうですし、フリー走行では電気系のトラブルで止まってしまいました。バトン選手にとっても、幸運とは言えませんでした。大事なのは明日の決勝レースですから、今晩は明日の準備に集中します」